Mattさんは日系アメリカン撮影監督。

Matt Workmanさんは大学でFilm StudiesとComputer Engineeringを学び、その後、撮影監督としてJustin Bieberや50cent等の大物アーティストのMV撮影やFacebook, Google, BMW等のCM撮影までもやってきたやり手だ。
なんでこんなに日系アメリカ人が撮影・映像界隈で海外で活躍しているかの真相は不明だが日系人ってだけでちょっと嬉しいよね。
そんな彼は実写の撮影を辞めてはじめたのが仮想現実内撮影ソフトCinetracerの開発だ。

Cinetracerは何かと言うと
仮想現実で撮影をシミュレーションするソフト
9分ある動画なので飛ばしでいいからざっくり見ればだいたい分かる。
ゲーム開発界隈に詳しい人にとっては馴染み深いかもしれないがこのソフトウェアはUnreal Engine と言うゲーム開発エンジン(プラットフォーム)を使い作られている。Unreal Engine を使えば1からコーディングしなくても高度なシェーダーを用いた3D空間に他人が作ったアセットやコードを組み込んで楽にゲームを開発ができるわけだ。
(もちろん多少のコーディングの知識は必要だが・・・)
このゲーミングエンジンをゲームじゃない用途で使うって発想が素晴らしいよね。
僕も学生時代に起業したのだが正に似たことをやっていてUnityというゲーミングエンジンで不動産VRアプリの開発をしていたのでMattさんに共感。
CinetracerでMVを作るの試みる動画。このLED天井よく海外のMVで見る奴。LAの有名なとこ
Steam で100ドル程度で今ダウンロードできるので、もし気になってる方がいたら購入してみてください。ちなみにまだベータ版なのでそこはご了承ください。購入した者曰く、使いこなすのがまだ難しい(笑)

Vコンテとか絵コンテこれでできるじゃん
まあそんな実質的な使い心地はまだ発展途上ですが、
何がすごいかってVコンテとか絵コンテとかこれで全てできちゃうっていうのがすごい。
しかもその場でライティングとか場所の間取りとか家具まで全部自分でカスタマイズできちゃうし・・・
ただVR空間でのシミュレーションでは飽き足らず現実のデバイスを取り入れた
MattさんはCinetracerのソフトの開発だけではなくHTCのVIVE Trackerを用いて実際に自分の動きを仮想現実に取り入れはじめたのだ。

そんな彼のYoutubeチャンネルたちが面白い
彼は主に3つのチャンネルの運営をしているのですが、その中でもCinematography Databaseが面白い。

Cinematography Databaseではもちろん彼の開発しているCinetracerの紹介やアップデート情報も発信しているのですが、元々撮影周りのワークショップをやっていたのもあってか、それ以外のコンテンツが撮影周りの映像クリエイターにとっては実に面白い内容で是非チェックして頂きたい。
(2020年現在、撮影周りのYoutubeコンテンツをごっそり削除したみたい・・・、それでも面白いから観てみて)
僕の周りの一線で活躍している撮影監督もみんな撮影以外のテック周りでギークな才能を発揮していて割とマルチで活躍されてる方が多い。例えば、WEBエンジニアやりながら花王のCMの撮影監督やったりと・・・
多分、撮影監督って僕含め、皆んなギーク(オタク)な属性を持たないとそこまでいけないのであろう。ただのカメラマンみたいに撮るだけが仕事じゃなくて、照明や機材といった撮影のあらゆることに詳しくないといけないので調べることが好きではないと務まらない。
おっと脱線したぜ。
Cinematography Databaseで例えばあげているものと言えば
何故Nvidia Quadro RTX8000を使うのか
映像をやっている彼が何故、Quadroという業務用のグラフィックカードを使っているのかという、かなりオタッキーな話とか。
どうやって仮想現実(VR空間)と現実のカメラをリンクするか
これとか夢のような話。CG版ライオンキングでやっていた仮想現実空間に実際の撮影監督のカメラの動きを取り入れたのと全く同じ話。
これが家庭で今正に実現できるということが驚きなのである。
この”Simulcam”サイマルカムを使ったリアルタイム実写合成なんて驚きだ。
ハリウッドレベルの技術が今まさに民生まで落ちてきているのである。
しかもこのwithコロナの時代、これを活用して何かとてもできそうじゃないか。
何故こんなにも面白いのか。
一見、撮影とは関係ないネタでも全て、Cinematography -シネマトグラフィ -撮影に帰結したり、関連付けられているからMattさんのトークスキルに脱帽だ。
単純に仮想現実空間での撮影っていうのはなんかワクワクするよね。
撮影者として観ていると、あーなるほど、ほぉこんな物あったのか!とか驚きの連続!
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