映画「パラサイト」VFXブレイクダウン。豪邸の大部分はPixarのRenderMan等、実はCGがすごい使われている撮影。

まずは動画を観てください。

映画「パラサイト」のシネマトグラフィーに関心していたので色々調べてたんです。初見じゃ中々気づきにくいですが、至るところに色々なシンボリズム(象徴)が散りばめられていて、現代的な早いカット回しでなくても、惹きつけられて、飽きない作品でした。(この辺はまた別の機会に)

監督自身が撮影のことにも精通している、キュービリック等を彷彿とさせる正確で狂いのないタイプのシネマトグラフィーだなと感じました。遊びがなくて、機械的なんですけど、それがポン・ジュノの味ですかね。

この作品は素晴らしさはポン・ジュノ監督の緻密なカット割りのたまものです。

そんな映画「パラサイト」のシネマトグラフィーの中でも驚いたのが

VFXが至るところに使われていることです(いや、ほぼ全シーン)。

過去にもスノーピアサーやオクジャ等VFXヘビーな作品も手掛けているポン・ジュノ監督ですが、「パラサイト」はパット見リアル志向な映画だったので、まさかこんなにがっつり使われてるとは正直思っていなかったです。

まずは実際に「パラサイト」のVFX(主に建物部分)に携わったDexter StudiosさんのVFXブレイクダウンをご覧ください。

外観の2階部分は完全にCG

初めに、劇中に登場するあの豪邸の外観。

2階部分はすべてCGだったのに驚きです。

劇場での視聴中、全く気づきませんでした。僕のVFX眼が素人(笑)

緑の芝や木々が多いのでここはブルーバックを使ってますね。
そのシーンの撮影様子

中での撮影はまた別のスタジオセットで撮ってますね。

日本でのビッグバジェットの映画でもこのスタイルが多いです。

内観のショットはカメラポジションがとりにくいのです。特にアジア圏の物件はコンパクトでひき尻がとりにくいのでマスターショット(引き画)が撮りづらい。それに狭いので照明の設置場所にも困ります。

なので実際の家で撮影しようとすると技術的な困難に色々と遭遇するものです。

もちろんワイド端のレンズを使う等、色々工夫ができますが、ワイド端は効果的に使わないと中々映画的にはみえないものです(個人的な見解)。

豪邸は監督のスケッチ、Simple Floor Planからモデリングされている

ポン・ジュノ監督が描いたSimple Floor Planを元に家がモデリングされているらしいです。

建築学的な観点の手入れや施しはプロダクションデザイナーに任せたそうですが、それ以外のところは監督自ら作り上げたという手の凝りようです・・・。

ゲームエンジンでモデリングされた室内

以下の記事でこう書かれています。

Director Bong is very experienced in film technology and has a deep insight into VFX. “During pre-production, we provided the 3D model of the main house in a real time game engine which he took and used himself, taking snapshots and directing camera angles. 

ポン・ジュノ監督は映像技術の経験が豊富でVFXの造詣が深い。プリプロの段階でリアルタイムゲームエンジンで生成された3Dモデルの家を彼は自ら使い、スクリーンショットを撮ってカメラアングルを決めていた。

https://renderman.pixar.com/stories/renderman-at-dexter

おそらく、Unreal Engineのことでしょう。昨今のUnreal Engineの映像界への進出の勢いはすさまじいです。

監督がスケッチした豪邸をゲームエンジンで起こさせ、プリプロの段階で撮影アングルを決めておくという、なんという完璧主義者。そして完璧なワークフローですね。ここまで計画の段階で計算しつくされていたら、現場でのトラブルはより一層減るはずです。

予算があがればあがるほど、撮影日の替えが効かなくなってきます。たくさんのキャストやスタッフの決まった拘束時間があるからです。

ゲーム内で家の中を歩くことができる
映画のまんま

使われているレンダラーはあのPixarのRenderMan

RenderMan Showreel 2020 from Pixar’s RenderMan on Vimeo.

ちなみにレンダラーはあのフルCGIのライオンキングやブレードランナー2049、NETFLIXオリジナルでマーティンスコセッシのアイリッシュマン等で使われたPixarのRenderManです。

レンダリングがほんとリアルです。

VFXがより身近なものになってくる予感

結局近年、実写とVFXのコストが逆転してきているんですよね。

もちろん実写で再現できることは実写で撮るに越したことはないと思っています。特に撮影に携わる僕みたいな人間にとっては。

実写だとリアルロケーションで撮影する場合いろんなしがらみがあります。特に現代ですと許可や近隣への配慮の問題。そうすると満足した撮影がどうしてもできないのです。

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