「グレーディングが上手くなっても美しい映像作品は作れない。」勘違いしないで、カラーグレーディングじゃあどうにもならない事の方が多い。

どうやったらあの人の色味出せますか?

 

駆け出しの時に撮った映像のグレーディング前と後

 

カラリストの仕事もしているので、僕の所によく質問が来るんです。

「どうやったらあの人の色味が出せますか?」って

大体この質問をする人はその人の好きなオシャレ系Youtuberの動画を送って来るのですが (Sam Kolderとか)その映像が綺麗かどうかは主観なので置いておいて・・・

僕は思うわけです。どんな映像も再現は可能だと。映像はセンスじゃなくてロジックだということをポリシーにしてるので。

だから、張り切って答えようとするんですが、映像に対するそもそもの知見(Knowledge)の差が往々にしてあることが多く、質問の本質的な意図であるグレーディングの仕方に辿り着く前に、

違うことを手取り足取り教えないといけないことがあります。

その前でどちらかが挫折して、

ダメだこりゃ・・・って断念することがあるわけです。

本当にもったいないですよね、コレ。

 

グレーディングの限界を知れ

まず、カラーグレーディングで出来ることにも限界があります。プロの手にかかれば、もちろん素人よりは画を綺麗に魅せることができますが、それは経験(僕は小手先のテクニックの蓄積と呼んでいる)があっての事です。

グレーディングなんて所詮、編集の一番ケツにまわってくる工程です。

映像でもなんでも品質を効率よく上げたければ、上流を辿った方がセオリー、定石です。

例えばオーディオ業界、初心者が良い音で聴きたいとします。

そしたら実は高級なヘッドホンを買うよりも、まずは良いプレイヤーを買わないとしょうがない。いいアンプが無いと出力も足りず、高級ヘッドホンの性能を活かしきれないのです。

もっと上流を辿れば音源。MP3の192kbps(低音質)で聴いてたら元も子もないです。せめてもWAVで聴かないと、せっかく買った良いプレイヤーが台無し・・・。

そんな、上流が整っていない中でリケーブル(良いケーブルに変えること)したって識別できる音の差なんてごく僅かですよね?

要は効率が悪い、コスパが悪いってことです。

カラーグレーディングも一緒です。編集の一番最後に来る工程なので、

その前の撮影や照明、

その前の美術、

その前のカメラや機材、

そしてその前のロケーション、調整、企画

がしっかりしていないとグレーディングも活かされないのです。

 

だから、まず上流を疑ってみてください。

「この色味どうやったら出せますかね?」

上記の質問をしてくる人は近道がしたくてしょうがないんです。

それは良いことです。

カラーグレーディングが映像美を追い求める入り口だった。

僕も映像美を追い求める入り口はグレーディングだった訳です。あの人が出す色ってなんであんなに綺麗なのだろうという所から始まりました。

そこから、綺麗な色を出すのにはグレーディングだけじゃないということを後々、気づかされるのですが、入り口はグレーディングでした。

だからこういった質問がある人は

向上心があるんです。早く上達したくて堪らないんです。そしてググればたくさんの答えがある時代なのに、ググっても出てこないのでしょう。僕に聞いてくるのです。

ですが、急がば回れ、遠回りした方が近道な時もあるのです。

 

僕は長年の経験を積めと言っているわけではありません。

むしろ、10年下積みとかバカらしいと思っているタイプです。

技術と実力があるなら即戦力になるべきです。

先ほど述べた様に、僕は経験なんて所詮、小手先のテクニックの積み重ねだと思っています。

 

だから小手先のテクニックをたくさん教えたって良いのですが、教えても上達しないことが多いのです。

だって、グレーディングのテクニックを教えても、まず上流が整ってないんだもん。

別に良いよ?iphoneとかのカメラをめっちゃ綺麗にグレーディングするってチュートリアル作っても?人気出そうだし。iphoneでこんなに綺麗に撮れるんだって思うかもしれないけど。あれって再現性に乏しいんですよ。だってライティングも完璧だし、役者もイケメンだし、ロケーションも最高。

 

だから、効率的でかつ合理的に学びたかったら

グレーディングの細かい所に労力をかけるより、まずは他の部分を学んだ方が身の為だぞ早いぞって思うことが多いのです。

 

一度シネマカメラの映像をいじってみてください。

もしシネマカメラでカラーグレーディングを試みたことがないって方だったら、下記のBlackmagic Designの公式サイトからBmpcc 6K(通称ポケシネ)で撮影されたプロの素材を無料でダウンロードできるのでいじってみてください。

自分の素材の色で色々手こずってるのであれば、プロが撮った素材で自分が望む色に調整できるかどうか、確かめてみてください。

多分、びっくりするほど色情報も残っており、照明もうまくできているので、色がいじりやすいと思います。

 

https://www.blackmagicdesign.com/products/blackmagicpocketcinemacamera/gallery

コレをいじってみても、やっぱり自分の好みの色味にできないなぁーーってなったらノウハウとか小手先のテクニックが足りません。僕に聞きにきてください。

オンラインサロンも近々立ち上げるので、是非ツイッターの方フォローしてやってください。

 

この色もっとこういう風にできない?という愚問

コレ良くディレクターさんや監督さんに聞かれるんです。

グレーディングって色の魔術師みたいなイメージを持たれるんです・・・

ですが、何でもできる訳ではありません。

カラーグレーディングはサイエンスです。マジックではありません。

技術的に可能なことと難しい(無理な)ことがあるのです。

僕がどんなに技術的なことを論理的に説明しても、なんでできないの?って中々理解されないことがあるのです。

例えばです。カラーグレーディングにおいて、

茶髪の人は色相をいじれば色んな色に髪の色を変えられますが、

黒髪の人は黒という色に色がないので、色相をいじっても髪の色を変えられません。

残された選択肢は色をかぶせることです。コレは黒という色に他の色を乗せることです。ただコレをすると画面上のあらゆる黒(影など)に色が乗ってしまいます。

茶髪の人だって技術的な制約があります。茶色をピンクに変えたら、画面上のあらゆる茶色がピンクになっちゃいます。

そういった色々な制約の中で私たちは人の肌を綺麗にみせるために工夫したりしている訳です。ご理解いただきたい。

 

カラーグレーディングはフィルムの種類だと思ってもらえれば良い

グレーディングは基本フィルムストックだと思うようにしてもらえれば話が早いです。フィルムの種類によって色って違いますよね?

しかし、例えば、選んだフィルムがどういった特性だかを知った上で撮影に臨んで、

少女のスカートの色が撮影時に赤だったのに、何で青じゃないんだ!?!?ってなりませんよね????

それは衣装とか美術の問題で、ましてや撮影前の監督と制作スタッフの調整不足ですよね?照明の当て方だってあるし、今の時代、現場でモニターチェックできるのだから。

結局大事なのは写ってる被写体や美術の方が大事。そして、その前にそれを決めるコンセプトだったり企画の方がよっぽど大事なのです。

責任を多部署に押し付けている訳ではなくて、フィルム時代ではありえない文句を言われることがあるのでここで補足しました。

だからたまには、全てをグレーディングに頼るなって言いたくなるものです。

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