カメラの後ろから現場全体へ。撮影監督がプロデューサーになるときはあるの?

結論から言うとあります。

全然自然な流れなんですよね。
撮影監督(=DP、DoP、Director of Photography)って、単にカメラを回してるだけじゃなくて、実は現場でかなり「プロデューサー的な目線」も持って動いてるからです。

たとえば──

  • 予算に合わせた機材選定(REDかAlexaか、レンズはレンタルか持ち込みか…)
  • ロケ地や時間帯に合わせたライティング計画
  • 制作スケジュールの無理・無駄を現場目線で最適化
  • 美術・衣装・ロケ班と密に連携して全体のバランスを見てる

こういうのって、めちゃくちゃ「プロデューサーの思考回路」と似てるんですよね。

特にCM業界とか小~中規模映画の世界だと、撮影監督が実質プロデューサー的に現場を回してるパターン、普通にあります。

ハリウッドでも例を挙げると──

実際に撮影監督→プロデューサーになった例

  • Barry Ackroyd(『ハート・ロッカー』の撮影監督)は、自主映画ではプロデュース側に回ることも多いです。
  • Emmanuel Lubezki(ルベツキ)も、自主系プロジェクトで製作指揮をとったことがある(大規模作品ではまだないけどね)。

日本だと──

  • CM撮影監督だった人が、プロダクション立ち上げてプロデューサーに転向、みたいなキャリアパスは普通にあります。
  • 小規模映画の世界だと、撮影監督が「プロデューサー兼任」でクレジットされるケース、割とよく見るよ。

どういう時に「転向」するか?

  • もっと作品全体をコントロールしたくなった時
  • 体力的にカメラマンワークがしんどくなってきた時
  • 制作資金の調達やパッケージング(キャスティング、セールス)に興味が出てきた時
  • 長年のネットワーク(監督、俳優、代理店、クライアント)を活かしてビジネスを回したくなった時

特に最近は、ストリーミング時代で「小規模でも即席で作るプロジェクト」が多いから、
マルチロール(撮影監督兼プロデューサー兼カラリスト兼監督)みたいな人、めちゃくちゃ需要ある。


ちなみにソースも挙げとくと──

  • American Cinematographer Magazine のインタビューで、Barry Ackroydが「プロデューサー的役割が求められる時代」について語ってる。
  • NoFilmSchoolの記事で、「撮影監督が制作側に回る動きが増えてる」という話も取り上げられてた。
  • 日本だと「映画芸術」誌の特集記事(2023年夏号)で、撮影監督がプロデュースする新しいインディペンデント映画の潮流が紹介されてたね。

僕個人の意見だけど、撮影監督のバックグラウンドを持ったプロデューサーって、めちゃくちゃ信頼できるし、かっこいいと思う。
なぜなら「クリエイティブをちゃんと守れるプロデューサー」になれるから。

たとえば「これじゃライティング破綻するよ」って瞬間に、ちゃんと現場レベルで止められるプロデューサーって超貴重なんだよね。

ニコラス・タケヤマ

ニコラス・タケヤマ

日英対応の撮影監督・映像ディレクター。上智大学卒。 ワンマンでのビデオグラファースタイルの案件から数十人規模のスタジオセットでの撮影・照明のディレクションにも対応。

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