誰でも、シネマティックな照明。照明は逆目から炊こう。リバースキーライティングをマスターせよ。

ローキーなライティングをしたいならリバースキーライティングをマスターしよう

今回の記事はRob EllisさんのOne Simple Way to Make Your Lighting Cinematic – Reverse Key Lightingの動画を参考にして書いています。

ローキーライティングとはキーライトによる被写体への強烈な照明を避ける照明方式です。画面全体が暗く、シャドウをちゃんと作ってあげて、ダークで雰囲気のある画作りになります。

映画が映画っぽく観える理由はたくさんあるのですが、その中でもライティングはかなり重要な点です。ジャンルにもよるのですが、コメディ等のハイキーライティングが合う作品を除けば、ローキーライティングが所謂、現代の映画っぽいライティングと言えます。

ローキーライティングでリバースキーライティングを用いた作例

キーライトは正面から順光で炊くのがセオリーですが、リバースキーライティングは被写体の逆目から炊くことを指します。

ローキーなシチュエーションを作りたいときに順光で照明を炊いてしまうと、背景にも光がまわってしまうので、リバースキーライティングは重宝します。

以下が参考動画の中で挙げられたリバースキーライティングを用いた作例です。

いかかでしょう?皆さん観たことある映画も多いかと思います。シルエット的に映っていてかっこいいでしょう?

シネマティックな表現に大事なのは陰影と背景との分離

映画の画作りにおいてdimension(立体感)はとても大事で、スキルのある現場ではそれを美術やライティングで作りこんでいきます。

立体感を作り出すには陰影と背景との分離が必要です。多くのアマチュアはレンズのボケ感で背景との分離を試みようとするのですが、それには多くの不都合が生じます。ボカせばせっかくの背景がボケるので、作りこんだ美術や美しいロケーションが台無しになってしまいます。そしてマニュアルフォーカスが主流な現場で浅いピントでのフォーカスワークもとても困難です。

日本が他国に比べ、画作りに劣る理由。ローキーライティングを避ける傾向。

日本のTVCMや特に放送業界では影を嫌います。例えばCMだと製品カット、モデルやタレントさんの顔を影に落とすと極端に嫌がられる傾向があります。被写体の半分が影に落ちていたら、クライアント、そして芸能事務所に「暗い、見にくい、宣伝にならない」ととやかく言われます。

クライアントマターなTVCMにおいてはそれはしょうがないと思うのですが、

こと映画ですら、その様な傾向が顕著です(邦画が製作委員会方式をとっていて実質スポンサーがたくさんがいるから)。それについての良し悪しはともかく、そんな経緯で日本と海外の画作りが極端に違うのです。

ダメな照明の例:Broad Lighting

では、本題に行きましょう。参考動画ではまずダメな照明の例から入ります。

カメラから視線をずらし、少し斜めに構えた状態でのこのカット、被写体が一番面をカメラに向けているのは体の左側の方です。

そして、皆さんこの広い面に(順光で)当てがちです。

だってカメラに向けてる方だし、そこにとりあえず当てたら安心するんですよね。

カメラに対して一番広い面の顔の左側にキーライトを設置
Broad Lightingの見え方

これはBroad Lighting (直訳すると広いライティング)と言います。もちろん、シチュエーションによっては適切なライティングです。カメラを直視するようなインタビュー撮影やMVのリップシーン、日中の外のシーン等。

Broad Lighting でもシネマティックな表現はできるのですが、もし機会があれば次に紹介するリバースキーライティングを積極的に使わない手はありません。雰囲気をより演出することができます。

雰囲気、ムードを作り出す鍵: Short Lighting

お次に紹介するのはShort Lighting です。照明の位置を逆目に持ってきます。

逆から炊くのがShort Lighting

これだと効果が分かりづらいので思いきってカメラのフレームにバレないように被写体の裏まで照明をグッと持っていきましょう。

照明バレしないように後ろまで周りこんで

さて、先ほどのBroad Lightingとかなり印象が変わるはずです。キーライトがもはやバックライト(エッジ)並みの位置ですね。キーライトが被写体を照らしつつエッジも立たせてくれるので一発のライトでコストパフォーマンスも良いです。

良く写真を撮る方は逆光を好む方がいますが、似たような理由です。

さきほどのBroad Lightingよりかなりムーディ

フィルライトで影を調整する

後はお好みに応じて、フィルライトで影を起こしてあげればいいだけです。影がきつすぎるな、作風に合わないなと思ったらオコシてあげましょう。ちなみに、ライトがカメラに向いているので単純にレフやカポックでもかなり影を起こすことができます。

フィルライトを使って影感を調整できるから積極的に使えます

応用編

それでは実際のシーンでの応用編に移ります。このシーンでは遮光し、現場にあるPractical Light – 備え付けの電球を活かします。

電球をいかしバックライトとして使う

次にリバースキーライティングで逆目からキーライトを炊きます。これだけでも十分ムーディ。

リバースキーライティング

ここからさらに画を作りこんでいきます。後ろの額縁の反射が気になるのでそれをまずフラッグ等で遮光して反射を消します。

キーライトの後ろにフラッグを立てて、うまく遮光できましたね。ここからバウンスなりフラッグをさらにたててコントラストを調整していきます。

最終的にはこのような画作りになりました。どうでしょうか。綺麗ですね。シネマティックですね。

色んな作品を観てパクろう。

映画を観ていたらかなりの頻度でこの逆目からのキーライトを発見できます。皆さんも是非注目してみてください。

ちなみに僕がオススメなのはデビットフィンチャー監督の映画:セブンです。もう、ほぼほぼ全部のシーンがリバースキーライティングで構成されています。

ニコラス・タケヤマ

ニコラス・タケヤマ

日英対応の撮影監督・映像ディレクター。上智大学卒。 ワンマンでのビデオグラファースタイルの案件から数十人規模のスタジオセットでの撮影・照明のディレクションにも対応。

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